水書道

「水書道」のサムネイル画像

墨を使わずに、水と筆でお手軽にできる水書道をご紹介。
書いたものがすぐに消えてしまうため、リラックスしながら気軽に練習できますよ~。

 書道・・・、昭和生まれの皆さまの中には、こどもの頃に習っていた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 かくいう私も習っていた一人です。小学校低学年から習い始めて、高学年になる頃には辞めてしまったのですが、辞めてからも度々押し入れから書道セットを引っ張り出してきては練習をしたりしていました。たまにムショーに習字をしたくなる時があるんですよね~。
 筆で美しい字を書くというのは、えも言われぬ気持ちよさがあって、誰に見せるわけでも無いけれど上手に書けた時はちょっとした達成感のようなものを私は感じます。これぞ趣味、まさに趣味なのであります。

 しかししかし、習字をしたことのある方なら共感していただけると思いますが、書道というものは準備も片づけも少し面倒なのです。墨汁を扱うので、服への跳ねも気になりますし、硯や筆の後片付けもひと苦労です。

 そこで今回ご紹介するのが「水書道」というものです。

 私が今回購入したのは、書道用品でおなじみ「呉竹」の「水でかんたんお習字セット」 です。価格は定価税込で1980円となっています。

「水でかんたんお習字セット」パッケージ

このセットは太筆が付いているので、購入してすぐに始めることができます。
セット内容はというと・・・

  • 太筆(玄海)
  • 水書き用硯(スポンジ入り)
  • 水で書けるお習字半紙 3枚
  • お稽古の本
となっています。

「水でかんたんお習字セット」の内容画像

 ではでは、セット内容品をひとつひとつ詳しく説明していきますね。

 まずは「太筆(玄海)」ですが、この商品はなぜか呉竹の商品カタログサイトでにも掲載されていないです。Amazonで検索をかけてみても、現在は取り扱いが無いようなので、単品としては生産終了になったのかもしれませんね。持ち手はABS樹脂、毛の部分は馬毛と羊毛を使用しているそうで、「中国製手作り」の記載があります。使用感は、抜け毛がけっこう激しいですが、書き味は普通です。繊細さには欠けますが、初心者の練習用としては十分その役割を果たしてくれると思います。私も太筆はこれを使用して練習していますが、表現力がまだあまり身に付いていないうちは不便を感じることは無いのではないかなと思います。

 次に「水書き用硯(スポンジ入り)」ですが、素材は薄いプラスチックです。こどもの頃に食べた「ねるねるねるね」の器と同じような質感、と言うとわかりやすいかも。とても簡易的な硯ではありますが、使い勝手も良いしお手入れも簡単です。もしプラスチックでは味気無いな~と感じる方は、自分の好きな陶器の小皿などを硯代わりにすると、気分も上がると思いますよ~。墨ではなく水を使用するだけなので、汚れを気にせず好きな器を使うことができるのが嬉しいポイントですね。

 そして次に「水で書けるお習字半紙」ですが、これはピンク・薄青緑・グレーの3枚が付いています。水を含むと色が変わる仕組みになっており、ピンクの半紙は朱色に、薄青緑の半紙は緑色に、グレーの半紙は墨色に、それぞれ色が変わります。どの色も書き心地は変わりませんが、やはり書いた字が墨色に変わるグレーの半紙を使うと、書道感がいっそう出てくる気がします。

 以下の画像は、私が実際に付属の太筆で書いてみた文字で半紙の色の変化をまとめたものです。

水書道用半紙の色変化

 最後に「お稽古の本」ですが、表紙を入れて8ページ(紙の枚数でいうと4枚)の薄いもので、書くときの姿勢から筆の持ち方の基本、文字の書き方の基本、ひらがな五十音のお手本、カタカナの五十音のお手本、小学校1・2年で習う漢字のお手本などの内容となっています。この本に出てくるの文字の字体はすべて楷書です。

 以上が「水でかんたんお習字セット」の内容です。一般的な太筆による書道をとりあえず初めてみたい方には、このセットがあれば充分なのではないかと思います。

 ですが、私がそもそも水書道をやろう!と思ったのは細筆でさらさらっと文字が書けたら素敵&便利だなぁと思ったというのが理由なので、私の場合はさらに細筆と水書道用半紙(3枚セット)を追加で購入しました。

くれ竹和筆 小茶壱硬 8号茶毛

 追加購入した細筆は呉竹の「くれ竹和筆 小茶壱硬 8号茶毛」 というもので、左の画像は開封前のものです。価格は定価税込で1320円です。使用感は、抜け毛は少ないですが、私が購入したものは毛の流れに少しクセがあって、書くときにちょっとコツが要ります。太筆と違って細筆は少しの力加減で書いた字の仕上がりが違ってきてしまうので、その筆その筆のクセの影響は大きいかもしれませんね。
 ただ、私はその筆その筆の持つクセも込みで、最終的に半紙の上で仕上がる文字というものの味をけっこう楽しんでいるフシがあります。書く文字は私と筆の個性の合作でもあるという楽しみ方も、趣味の書道としてはなかなか乙なものですよ~。

 そして、合わせて追加購入した水書道用半紙「水でお習字・半紙(3枚セット)」 ですが、こちらは色のラインナップは「水でかんたんお習字セット」に付属していた半紙と同じピンク・薄青緑・グレーの3色です。価格は定価税込で660円です。
 この半紙は「水でかんたんお習字セット」付属の半紙とは異なる点が1つあります。セット付属のピンク色の半紙にはガイドラインが印刷されていたのですが、追加購入したこの半紙には3枚ともガイドラインがありません。ガイドラインが無くても良い方は問題ありませんが、ガイドラインありの半紙を希望する方は、購入にあたってはこの点に注意してくださいね。

 そしてそして、以上のような水書道関連アイテムとは別に私が購入したものがあるのですが、それがこちらの書籍「美しい行書のお手本」 です。税込定価は1650円です。

書籍「美しい行書のお手本」

 水書道をするにあたり、果たしてどの書体でいこうかと考えた際に、私は行書にチャレンジすることにしたのですが、インターネットでいくつかの書籍を調べた結果、この本がとても丁寧に気を付けるべきポイントやコツなどを解説してくれているように感じたので、この本を購入しました。

 ここで書体についてですが、現代において一般的な毛筆というと楷書・行書・草書の3つが挙げられると思います。楷書は、こども時代に書道教室や学校で習ったときの「とめ」「はね」「はらい」を重視するきっちりとした書体のことです。そしてそれをくずしていくような書体が行書と草書なのですが、この「くずし」の程度が小さいのが行書で、大きいのが草書とでも言いましょうか・・・。正直言って私には草書は字をくずしすぎていて何を書いているのかさっぱりわからないので、くずし具合がほどよくこなれた感じの行書を練習してみることにした次第です。

 行書の練習をするにあたって少し手こずっているのは、こどもの頃に書道教室で楷書を習っていたことにより「とめ」「はね」「はらい」が身に付いていたために、行書でもその習慣が出てしまうということです。
 行書は「とめ」「はね」「はらい」をきっちりすることではなく「流れ」に重きを置いているように感じるのですが、ついついクセで「とめ」「はね」「はらい」をしてしまって、「流れ」に乗れないことがよくあります。「決まったぁ!」みたいな気分でついついガシッととめてしまったりするんですよね~。

 今回教本として使用しているこの「美しい行書のお手本」の最初の方のページに、著者から行書について少し説明が書かれているのですが、その中で宋の蘇東坡(そとうば)の格言「楷書は直立のごとく、行書は歩むがごとく、草書は走るがごとし」を紹介しています。それを読んだときに、私はなんとなく字体のイメージが掴めたような感じがしました。歩くようなイメージで書くと、筆の運びも少し柔軟になる気がします。

 さてさて、ここでまた本題の水書道の話題に戻りますが、水書道用の半紙の質感について少しお話したいと思います。
 この半紙は、一般的なケント紙よりやや薄いぐらいの厚さで、表面(筆で字を書く面)はマットな感じです。私は最初にこのマットな面を触ったときに「あ、手の脂全部持ってかれそう」と思いました。私はアトピーの乾燥性敏感肌なので、手は常に保湿剤(プロペト)でコーティングしているのですが、この手についた保湿剤が半紙に付いてしまうと、染みになったり水を弾いてしまって使えなくなったりするのではないかと懸念したのでした・・・。通常であれば1000回くり返し使用できると書いてある半紙なので、できるだけ良い状態を保って長く使いたいものです。
 そこで、私は細筆の練習をするときは下記画像のようにティッシュを当て、ここに手を軽く乗せて字を書いています。

水書道用半紙にティッシュを当てる

 水書道を初めてから今まで10回ほどこの方法でティッシュを当てて練習していますが、今のところ保湿剤がしみ込むこともなくきれいな状態を保つことができていますよ~。もし乾燥肌で同じような懸念を持っている方はぜひこの方法を試してみてくださいね。
 布手袋をはめると確実に汚れを防ぐことができるのだとは思いますが、私は手袋をはめると筆のグリップ感が変わってきて、なんだか気が散ってしまいました・・・。

 さてさて、気になる書き心地はというと、通常の墨と半紙で行う書道にかなり近いと感じました。マットな水書道用半紙と筆の摩擦する感触が、墨汁と半紙の感触をとても忠実に再現できているのではないかと思います。さすが長年書道用品を作っているメーカーだなぁといったところ。

 そして、水書道で気になるのは書いた字が乾いて消えるまでの時間だと思います。これは紙に付着する水の量に比例するので、太筆で書いた文字ほど消えるのに時間がかかりますが、細筆で書いた文字でも字の書き始めや書き終わり、線が重なる部分などは付着する水の量が多くなるので部分的に乾くのが遅かったりします。
 早く乾かしたい場合は、乾いたふきんやティッシュなどを半紙に被せて、表面を軽く押すようにして(※こすらないように注意)水分を吸い取っておくと、全体が乾くまでの時間が短くなります。
 何もせずに字を書いた半紙をそのまま放っておいた場合は、水分量にもよりますが2~5分程度で消えるかと思います。

 参考までに、下記の画像で解説しますと・・・
 これは「美しい行書のお手本」の中から選んだ見本の書「風光動四隣」を細筆で縦書きしたものなのですが、一番上の「風」を書き始めてから、一番下の「隣」を書き終わるまでに有した時間は約1分30秒でした。画像を見るとわかるとおり、最後の文字を書き終える頃には、すでに最初の文字は消えかかっています。そして最後から2番目に書いた文字である「四」も、すでに文字が滲んで少し輪郭が拡がっています。最後に書き終えた「隣」ですら、書き終えてからカメラを構えてシャッターを切るまでの10秒ほどの間に、書き終えた瞬間のシャープな輪郭は失われています。

水書道用半紙に書いた文字の乾き具合

 以上の説明で、なんとな~く乾くまでの時間間隔を感じていただけたかと思いますが、もうひとつ画像を用意してみました。
 以下の画像は細筆で書いた1文字「光」が、1分間でどのように変化していくかをまとめたものです。

書いた字の1分間での変化

 最終的に、この時書いた文字がすっかり乾くのに有した時間は3分ほどでした。

 細筆だけで書く場合は、セットに付属している3枚の半紙をローテーションで使用すれば、半紙が乾くまでの待ち時間無く練習を続けられるのではないかと思います。太筆での練習を行う場合は、やはり半紙が乾くまでの待ち時間が出来てしまうと思うので「水でお習字・半紙(3枚セット)」 を追加で購入することをおススメします。

 今回ご紹介した水書道、いかがでしたでしょうか。新しく水書道を始める方や興味をお持ちの方にとってこの記事が参考になれば嬉しいです。

 私は今回ご紹介した水書道と出合ったことで、時折豊かな時間を手軽に過ごすことができるようになり、我ながら良い趣味を見つけたな~と思っています。書いた字がすぐに消えるというのも一期一会な感じがして、私はそんな部分もとても気に入っています。上手く書けても失敗してもスーッと消えていく・・・それでも、練習することで得た経験は必ず自分の中に残るものなのではないかなと思います。
 上達を目指すもよし。楽しさを追及するもよし。水書道、おすすめですよ~。

(ライター:たてめ)
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