わが家の猫はストレスが許容量を超えると粗相をします。
トイレ環境を変えたり、サプリを飲んだり、リラックスフェロモンを拡散したり、試行錯誤のストレス・粗相対策。
わが家の猫OK氏は臆病で警戒心の強い性格である。
一緒に暮らし始めて3年半ほど経つので、日常生活の物音などに対しては最初の頃より耐性ができたものの、それでも聞きなれない物音に対しては小さな音であっても身体をビクッとさせて警戒態勢に入ってしまうのは相変わらずである。
一般的に猫は狭い場所が好きというが、OK氏は狭い場所が苦手なのか閉鎖的な場所が苦手なのかわからないが、出入口が1か所しかない狭い場所には寄り付かない。なので、市販されているだいたいの猫ハウスは気に入ってもらえない。たぶん常に逃げ道を確保しておきたいのだと思う。
そして甘えたいのに触られることが苦手なものだから、いつもジレンマを抱えて「ん~ん~~」と駄々っ子のような声を出す。そのくせ触ると怒る。
いつも警戒して神経を尖らせているOK氏は、とてもストレスフルな生活を送っているように見える。
そしてOK氏は、ストレスを感じるとシモに影響が出るという性質がある。ストレスが溜まるような状況に陥ると、粗相をするのだ。
わが家に来て1年くらいの頃はうんこ、おしっこ問わずに粗相していた。粗相をする場所は決まって足場のやわらかい場所で、特に飼い主ズの一人・B技師の寝ている布団が絶好のうんこスポットであった。
排泄物のにおいが残っていると同じ場所で粗相を繰り返すということだったので、粗相するたびに布団を洗って消毒して日光に当てたりしていたが、それでもOK氏の粗相が直ることはなかった。やむを得ず寝室を出入り禁止にしたら、粗相は止まった。
特発性膀胱炎になったときは、とにかくあちこちでおしっこをするようになった。それでも自分のお気に入りのどら焼きベッドやハンモックでは粗相せずに、いつもは絶対に使わない猫ベッドや竹かごなどにばかり粗相していた。
あまりにも膀胱炎が壮絶な状況だったので、この時ばかりはどこでも良いから出したいところでおしっこを出してもらうようにしていたが、膀胱炎が治ると粗相も止まった。
動物病院では、リュックの中でたまにうんこを漏らす。動物病院に行くとOK氏は待合室で待っている間もリュックが振動するほど動悸がしている様子なので、恐怖のあまりうんこが出てしまうのだと思う。そのせいか動物病院で粗相するときはコロッとした小さなうんこを1つだけすることが大半だ。まさに「漏れてしまった」という感じ。
そして今から半年ほど前・・・飼い主ズの一人・B技師の仕事が忙しく残業が続いたため、わが家の生活スケジュール&パワーバランスに変化が訪れた時期にまたOK氏の粗相期がやって来た。
B技師の不在により、三つ巴で均衡を保っていたわが家のパワーバランスがガタッと崩れ、抑止力から解放されたOK氏の無双が始まったのである。
OK氏はキッチンの引き出しやソファー、コンセント部付近などなど、とにかくいろいろな場所でおしっこをしだした。
しかも今回はいつもの粗相とは違って、垂直方向におしっこをかけるというタイプだったので被害が拡大したのだった。
最初は「これがスプレーというものなのか」と思っていたのだが、どうも噂に聞くそれとは匂いが違う気がした。
以前動物病院で獣医師にスプレーについて聞いたことがあるのだが、「とてもじゃないけど耐えられない強い匂いがします」とのことだった。しかしOK氏の垂直方向のおしっこは、多少むわんとするもののいつものおしっこに近い匂いであったのだ。
そして粗相をするタイミングは、私がOK氏のごはんを用意しているわずかな間(1~2分)や、パソコンで作業をしている時など、OK氏が何かを我慢するような状況になった時だということがわかってきた。
OK氏が我慢することなく暮らすことができたら問題は発生しないのだろうが、さすがにOK氏の要求に対してすべて即座に応えることはできないので、他に解決策を探さなくてはならない。
そもそも今回の問題の発端は生活スケジュール&家庭内パワーバランスの変化っぽいし、時間をかけて対応しなければならない問題かもしれない。
今回の粗相と関連があるのかはわからないが、この時期にOK氏の片側首の毛&あごの下の毛がごっそり抜けて傷も出来たりもしていたので、とにかく一度かかりつけの獣医師に診てもらうことにした。
OK氏のかかりつけの獣医師は身体的な病気を発見したり治療したりする能力は高いと思うのだが、細やかな心理的ケアに関しては淡泊な印象である。おそらく理論的な性格というだけなのだと思うが。
たとえば採血をする時でも、OK氏をなだめるよりも処置を素早く行うことに集中している。そのほうが猫への身体的および心理的負担が最も少ないと考えているのだろうと思うし、実際その通りなのだろうとも思う。
でもでも、こちらとしてはまず「大丈夫だよ~」とか「いいこだね~」とか話しかけて安心させてやるのも大事なんじゃないかなーーーとか思うわけで・・・。
そして獣医師には今まで度々OK氏のストレスについて相談をしているのだが、「猫のストレスについては原因がわからん」という態度を一貫している。それも実際その通りなんだと思う。でもなんかもーちょっと飼い主の心に寄り添ってくれてもいいのかにゃーーーなんて思ったりもするわけで。
そんなわけで、今回もまたたぶん原因不明なんだろうな・・・と思いつつ、ひょっとして膀胱や体に問題がある可能性もあるので、病院で診てもらった。
OK氏の身体を触診してもらい、超音波検査で膀胱を見てもらって、首の皮膚組織の検査をしてもらったところ、膀胱にまた脂肪が溜まっている以外には特に問題は無かった。
そして膀胱に脂肪が溜まっていることと粗相はおそらく関係なく、粗相と首の脱毛こそが同じ原因ではないか・・・というのが獣医師の見立てであった。
脱毛については消去法で要因を排除していった結果「ストレス因」と「アレルギー因」が残り、普段からOK氏がストレスを溜めやすい性質であることや、粗相も同時発症しているということがあり「ストレス因」を支持した、というところである。
私は自分がアトピーで、ストレスを感じると痒くなったりするため「痒みの原因はやっぱりストレスなんですかねぇ」と聞いたのだが、その時に獣医師から返ってきた「痒くないかもしれませんよ・・・」という言葉が衝撃であった。もし痒くないのに掻いて脱毛して傷を作ってるとするなら、それはつまり自傷行為じゃないスか・・・。まさにストレスのなせる業。
今回もまた「猫のストレスについては原因がわからん」という従来どおりの獣医師の立場は揺るがないものの「ジルケーン飲んでみるか・・・」とぼそっとつぶやいたと思ったら、奥から何やら薬の容器のようなものを持ってきた。
それは「ジルケーン」という名のサプリメントで、心が安定する効果が期待できるとのこと。私はこの時いよいよ精神安定剤のお世話になる日がやってきたかと一人神妙な面持ちでその容器を見つめていた。
即効性のあるものではないとのことで、とりあえず2週間服用して様子を見ることに。原因がストレスなのであれば、粗相も皮膚症状も改善すると思いますとのこと。
ここで「ジルケーン」 について簡単にご紹介します。
主成分は「α-カソゼピン(トリプシン加水分解牛由来カゼイン)」といって、ミルクに含まれるタンパク質のカゼインをトリプシン加水分解した特定のペプチドで、 母乳を与えられた赤ちゃんがすやすや眠る様子にヒントを得て開発された製品だそうです。
あくまでもサプリメントであり食品ということで、原材料と成分分析値が外箱に記載されています。
ただ、カプセルに使用しているであろう着色料の表記などは記載されていない(記載の省略基準を満たしているからかも?)ので、添加物や化学物質にアレルギーのある猫さんへ使用する際には、メーカーへ問い合わせたほうが良いかもしれません。他にも記載を省略している原材料があるかもしれないし。
以下の画像は、小型犬・猫用の「ジルケーン75mg」の外箱に表記されている原材料および成分分析値ですので、ご参考ください。(2022.2.25現在)
ちなみに・・・「30粒」入りということになっていますが、実際には31粒入っています。たまにカプセルが割れていたりするので、その代用として1粒多く入っているのかもしれませんし、1か月が31日ある月もあるために1粒多く入っているのかもしれません。
価格は病院や販売店によって違う可能性がありますが、OK氏のかかりつけの動物病院では30粒入1本で2750円(税込)で、バラだと1粒110円(税込)です。
カプセルの大きさは、一般的な人間用の薬のカプセルと同じ大きさです。
私はOK氏の身体を押さえてカプセルを飲ませる自信が無いので、カプセルを開けて中身をちゅーるに混ぜて毎日飲ませています。薬やサプリによっては、砕いたりして与えてはいけないものもありますが、ジルケーンは中身だけ与えることができるので、とても便利です。
それから2週間、きっちりジルケーンを飲ませたものの、その間も粗相は収まらず皮膚の状態もあまり改善せず、B技師は相変わらず連日深夜まで残業し、私は連日気を張っていたためか一時的に認識力が急低下してしまった。わが家は呪われたのかと思うくらい、地獄のような日々であった。
そして再び受診。前述したように認識力が著しく低下していた私は、獣医師の説明する言葉を理解することに苦労しながら応対していた。正しいOK氏の状態すら伝えることができず、生返事をしたり矛盾した回答をしたりして、獣医師も首をかしげていた。そんなわけでこの日獣医師は私の言葉はおそらく参考から除外して、触診や視診などからOK氏の状態を診断していたと思われる。
とりあえずジルケーンを飲んでも皮膚症状は良くなっていないため、ステロイドの内服薬を4日分処方してもらうことになった。それとジルケーンをさらに1か月分。
普段はOK氏に話しかけることも無い獣医師なのだが、この時は「かゆいのかね~?」と困ったように話しかけていたのが印象に残っている。もっと話しかけてやってくれ・・・。
診察が終わり待合室に戻ると他の患者さんが居なかったため、OK氏の入ったリュックを前に抱えながら何気なく待合室内をプラプラとしていたら、腰壁の位置にあるコンセントに刺さった謎アイテムを発見。それが後にわが家の救世主ともなる猫向けのリラックスフェロモン「フェリウェイ」であった。
この時はこの一瞬でもOK氏がラクになればと思って、フェリウェイの拡散器の近くで診療費の清算を待つことにした。OK氏はリュックの中で鼻をヒグヒグさせていた。
ここで「フェリウェイ」 について簡単にご紹介します。
フェリウェイは、猫の頬から分泌するフェロモンに似た成分を含み、これを猫が嗅ぐとリラックス効果が得られるという製品です。
フランスのセパ社が製造したものを、日本ではビルバックジャパンが輸入・販売しています。
猫にとっては「安心の目印」のような匂いのようです。
人間(私)にとっては、少し焦げっぽいような・・・ほこりっぽいような・・・そういえば猫の頭の匂いに似ているような・・・そんな匂いがします。
あくまでも拡散器に近づいた場合に少し感じる程度の匂いですが、ワンルームのお部屋や個室などでは少し匂いを感じることが多いかもしれません。
私が購入している店での価格は、拡散器とリキッドのセットで5940円(税込)です。
これはフェリウェイに限りませんが、インターネットではいろんなお店で猫用の製品が販売されていて価格もずいぶん幅があります。
猫は人間よりも身体が小さいぶん、様々な成分に敏感に反応してしまいます。なので、猫用の製品を購入する際にはとにかく安全面を第一に考えることが重要だと私は考えています。
購入する店舗を選ぶ際には、価格だけではなく、会社情報を調べたり、製品を保管しているであろう場所の管理(虫や匂いがつきやすい環境ではないかなど)ができているか、正規の輸入代理店を通した製品を扱っているか、そういう信頼性も考えるとより安全にお買い物ができると思います。
価格が高いとナーバスになることもありますが、何かあってからでは遅いので、とにかく猫用の製品は信頼のおける店舗で購入するほうが飼い主の精神衛生上も良いと思います。
価格が低すぎるのは無条件に怪しいですが、もちろん価格が高ければ安心ということではなく、適正価格内で安全性がしっかり裏付けされていることが重要だと思います。
揮発性の高い溶剤(無臭)を使用しているためパッケージに火気厳禁の注意書きもありますし、拡散器はコンセントに差しているとそこそこ熱くなります。なので、取り付ける場所にはくれぐれも注意が必要です。
わが家のOK氏はフェリウェイを取り付けた際に至近距離で嗅いでしまったことがある(縄張り内の安全確認のため)のですが、濃度が高すぎるせいか、はたまた揮発成分がツーンとしたのか、慌てたように一瞬で顔を引っ込めていました。
OK氏はそれ以来至近距離で嗅ぎに行くことは無くなりましたが、何度も至近距離で嗅ぎに行ってしまう猫さんの場合は、拡散器周辺に通気を妨げないタイプのガードを設置したほうが良いかと思います。
付け替え用のリキッド単体も販売されており、こちらは私が購入しているお店での価格は3700円(税込)です。
以下は「フェリウェイ専用拡散器+リキッド」の商品パッケージに記載されている主な内容をまとめたものです。
- 猫のフェイシャルフェロモンF3化合物 2%
- イソパラフィン系炭化水素溶剤 98%
- 定格電圧:100V 50/60Hz共用
- 消費電力:5.6W
- 1部屋(50-70㎡/約45畳まで)につき専用拡散器1個を目安にご使用ください。
※パッケージに記載されている事項のうち、個人的に特に重要だと思うものを以下に引用しますのでご参考ください。
- ご使用に際して、延長コードなどは使用しないでください。
- 専用拡散器は6ヶ月間の使用ごとに新しい専用拡散器に交換してください
製品ラインナップとしては、家具やキャリーケースなどに直接噴霧する「フェリウェイスプレー」 もあるようです。
わが家ではスプレータイプはまだ使用したことがありませんが、拡散器をコンセントに差しっぱなしにするのが不安な方や、ワンルームや個室で過ごす猫さんにはスプレータイプのほうが便利かもしれません。
こちらも火気厳禁になっているので、使用の際はご注意くださいね。
ステロイドを内服すれば湿疹は改善することは経験上わかっていた。いつも4日で完治こそしないが、後は自然治癒するだろうレベルまでは改善するのだ。
はたしてOK氏は痒みを感じて掻いているのか否か・・・ジルケーンの効果があまり感じられないとなるとその可能性が上がるであろう。しかしとにかく今は皮膚症状の改善と粗相への対策をするのみ。
そして、予測通り4日間ステロイドを服用してOK氏の皮膚症状は改善した。しかし粗相はやはり治らず・・・。私も気を張り詰めて粗相しないように見張っているのだが、少しの隙を突いてOK氏は粗相をするのだ。
ある日、私もいよいよ限界を迎え、悲しみと虚しさの溢れるままに現状打開を願ってリビングをごっそり模様替えしたのであった。
猫にとって模様替えがストレスになることは知っていた。ただでさえストレスを感じやすく、現在もそれが原因と思われる粗相を繰り返しているOK氏にとって悪影響が出る可能性のほうが高いであろうこともわかっていた。
しかし私も限界だった。もうこの部屋には居たくなかった。でも逃げ出すわけにも投げ出すわけにもいかないのだ。そこで、模様替えを決行した。模様替えが終わると、この間病院で見た「フェリウェイ」をインターネットで購入した。
結果的に、模様替えは今回わが家にとってプラスに働いたようだった。模様替えに伴ってOK氏のトイレの場所を変えたことが効果的に働いたように感じる。
注文して2日後には届いたフェリウェイの効果も相まって、OK氏の粗相はひとまず止まった。フェリウェイもOK氏には効果的だったようで、設置してから棚や床でごろんとなってリラックスすることが増えた。
それから5か月ほど経過した現在まで、OK氏はジルケーンを毎日服用している。
ジルケーンに関しては効き目の程度に個体差があるのだろうとは思うが、わが家のOK氏に関しては正直言って効果があるのか無いのか私にはわからない。しかし、「ひょっとしたら本人(猫)はラクになっているのかもしれない」という獣医師の言葉を聞いて、飲ませ続けようと思った。
副作用や依存性が高い薬なら使用することに慎重になるけれど、ジルケーンはそもそも薬ではなく長期的にも使用できるサプリであり、成分も体にやさしいものとのこと。効果が無いなら無いでいいけど、もしも本人だけが感じられている効果があるのだとしたら、プラスにこそなれ決してマイナスにはならないと考えている。
フェリウェイも3~4週間ごとに交換しながら継続して使用している。
B技師の残業ラッシュも先月からは落ち着き、生活スケジュールとわが家のパワーバランスも再び元に戻ってきている。
キッチンは立入禁止にして、OK氏がリビングに居る時間帯はソファーにマスカーをかけて粗相を防止。コンセントなど、液体がかかると危険な場所にもマスカーをかけて保護。その他、粗相しそうなポイントにはペットシーツを養生テープで貼り付け、おしっこ受け入れ態勢を整えた。
わが家のソファーや壁を粗相から保護する「マスカー」についての説明です。
マスカーは、テープと高密度ポリエチレンフィルムが一体になった物です。以下のGIF画像のように、最初は畳まれているフィルムをビローンと伸ばすことができます。フィルムの長さは様々販売されており、画像は110cmのものです。
価格は、長さやメーカーにより様々ですが、私は1100mm×25mのものを1巻285円(税込)で購入しました。
本来は壁を塗装する際に塗料の飛び散りから窓や床などを保護するために使用するものですが、実に様々な用途に使用することができてとても便利なものです。
ただ、あくまでも"一時的な保護"のために使用するものなので、長期的に貼りっぱなしにすると、テープの粘着が残ってしまうかもしれませんので注意が必要です。
わが家では、ソファーに貼る場合は以下の画像のように、もし粘着が残ってしまっても気にならない後ろ側に貼っています。壁に貼る場合は、腰壁の板部分を利用したりして、なるべく壁紙に貼らないように気をつけています(賃貸なので)。
長さが足りない場合は、マスカーの端(裾)にさらにマスカーを貼り合わせ、延長して使用しています。
「布マスカー」の"布"は布テープのことですが、より糊残りが少ないアクリル系テープを使用した「ポリエチクロステープ付きマスカー」もあります。
どうしても壁紙に貼る必要がある時はこちらを使用していますが、それでも壁紙が無情にも剥がれることがあります。わが家の壁紙が激弱なのかも・・・?。
こちらは1100mm×25mのものを1巻428円(税込)で購入しました。
猫はしつけが出来ないというが正にその通りで、いくら注意したところで猫にはあまり効果がないのだ。なので、猫の行動を制限したい時には「猫がその場所でその行動をしたくない」と思うように仕向けたり、立入禁止にして物理的にその行動を制限する必要がある。
ソファーにマスカーをかけるという作戦は功を奏した。
が、マスカーをかけて5か月ほど経過した頃からOK氏はマスカーにも慣れ始め、マスカーの上を散歩するまでになった。そして今ではたまにおしっこ・うんこポーズをとったりするようにまでにマスカーに慣れ親しんでしまった(今のところポーズだけで済んでいる)。
猫にとって空間や物を認識するために欠かせない重要な要素は「におい」なので、そろそろソファーにかけているマスカーを全交換したほうが良いのかもしれない。もはやリビングの一部として約半年間ソファーにかけているマスカーは日々の生活のにおいを吸収して、OK氏にとっては心地の良い安心するものになっているのであろう。
薬やアイテムの力を借りながらあの手この手で対策をして、なんとか粗相を防げている現在。それでも隙あらば粗相しそうになるOK氏を目の当たりにすると、根本解決など1ミリもしていないのだなと思い知らされる。
獣医師が「猫のストレスについては原因がわからん」というスタンスを貫く理由もわかるようになってきた。
ただ、確実にOK氏の中で「我慢」できる許容量が増えてきていることは感じる。なので、現行の対策の方向は間違ってはいないのだろうとは思う。少しずつ軌道修正をしながら、これからも対策を続けていくつもりだ。
今回のことで身に染みたのは、つくづく猫は敏感で複雑な生き物だということ。トラブルの対処として何が正解かわからないし、「正解」を構成する要素が複雑に関係しあっている気がする。そしてそれに「その日その時の気分」みたいなランダム要素が掛け合わされると、いよいよ正解が見づらくなっていく。
もしかしたら正解を探すよりも、間違いを見つけて修正するほうが、結果的に早く正解に近づけるのかもしれない・・・。
猫を飼うにあたり、私が参考にしている"猫の行動専門家"ジャクソン・ギャラクシーという人物の著書(邦題「猫を幸せにする飼い方」)があるのだが、彼はトイレ問題についての解決の道筋もパターンごとに書いている。
しかし、どのような場合にでも共通するのは、まず病院で病気や疾患が無いか調べてもらうこと。そして、猫に怒鳴ったり罰を与えたりすることは効果も意味も無いということ。
トイレ問題以外にも参考になる様々な事柄について書かれているので、お悩みの飼い主さんはぜひご一読をおすすめする。
最後に、そんなジャクソン・ギャラクシーの著書から、猫のトイレ問題に悩む飼い主へ向けた言葉を引用して紹介しようと思う。
“データを集め、粗相を片づけ、先に進む。それがまさに、このトイレ問題のプロセス中に、あなたにできることのすべてだ。
”引用文献:Jackson Galaxy(2017)「Total Cat Mojo」(邦題「猫を幸せにする飼い方」 プレシ南日子訳 (2018) p302)
悲嘆に暮れて悩むばかりでは問題はいつまでも解決しないんだということを思い出させてくれる、的確でシンプルなアドバイスです。涙を拭いて先に進みましょー!